« 二本松の提灯祭り | トップページ | 冬の集いのご案内 »

中庭の花梨

今年も中庭の花梨の古木に、たくさんの実がなりました。
2007_112020071

両手に余るほどの大きな実は、緑色から黄色へ日ごとに変化してゆきます。
花梨の黄色は、独特の存在感をもっていて、鮮やかに紅葉する木々の中にあっても、特に目を引きます。

この花梨の木がここにやってきたのは、4代目太田七右衛門が当主だった時代。
この人は1811(文化8)年から1877(明治10)年までを生きた人ですから、この木は江戸時代の終わり頃から、かれこれもう150年あまりも大七酒造の中庭に立っていることになります。大七のシンボルツリーともいうべき大切な木です。

2007_112020072

4代目はこの木を、時の二本松藩主丹羽長富侯よりいただいたのだそうです。
お殿様の別邸の庭に植えられていた花梨が、落雷によって真っ二つに裂けてしまったのを、「一度雷の落ちた木には、もう二度と落ちないだろう」と験を担いで、有難く頂戴してきたのだとか。
また、この木を中庭に植えたのは、「外に樫(貸し)、内に花梨(借りん)」と、江戸時代らしい洒落言葉によって家訓を後生に示すためでもあったそうです。
それを駄洒落というなかれ。
そこにあるのは、人を笑わそうという浅薄な意図ではなく、ひと手間かけて婉曲に物事を表現する、奥ゆかしさや遊び心なのではないでしょうか。
かの時代の人々は、言葉をとても優しく丁寧に扱っていたと思うのです。
まるで生き物に触れるかのように。

それにしても、木というのはすごいものですね。
ずっと同じ場所に立って、人よりずっと長く生きて、すこしづつ変わっていくまわりの景色をただ黙って見ている。着流しに髷を結った人が、この木から落ちた実を手にとって、今、私の鼻腔にあるのと同じ香りをかいだに違いないのです。
甘く清冽な香りを放つ木の実から、想像の翼は広がっていきます。

2007_112020073

少し寒くなって、花梨の実の黄色がより深くなったら、はちみつ漬けや花梨酒を作ります。
昔から喉にいいとされています。種に薬効成分が多く含まれるそうなので、必ず種も一緒に漬け込みます。

|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/188831/17088581

この記事へのトラックバック一覧です: 中庭の花梨:

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。