« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »

二本松の提灯祭り

毎年、今頃になると、金木犀の香りが町中にただよっきて、「あ、この季節が来たなぁ」と気づきます。「今年も金木犀の香りがしてきたから、そろだねぇ」なんて会話が交わされます。
二本松の人たちにとってこの季節といえば、もちろん提灯祭りの季節に決まっていますが、私たち酒造業関係者にとっては、お祭りだけではなく、酒造りの始まりを示す香りでもあります。お祭りが終わったら、すぐさま今年の造りが始まるのです。

今年は残暑の影響でしょうか、金木犀の香りが遅くて、つい数日前にやっとほのかに香ってきました。でも、その香りを運んでくる風の温度なのか、金木犀だけじゃないその他の植物やなにかも、すこしずつ時期がずれていて、複合的な香りが微妙に変化しているのか、どこか香りの感触が違って感じられます。
とにかく、今年のお祭りの匂いは、いつもとどこかしら違う気がする。
そんなのは私だけでしょうか。

10月4、5、6日は二本松の提灯祭りでした。
いつも静かな二本松の町が、1年で最も華やかに活気づく時です。

2007_100820070013_2

大七の前の通りも太鼓台の運行ルートにあたるので、この3日間は、ずらりと露店が並んで賑やかです。昼間、仕事をしていると、お囃子の音色が近づいたり、遠ざかったり、朝から晩まで、聞こえてきます。(お祭り後の数日は、この音色が耳について離れず、機械の音がお囃子に聞こえて、ハッとしたりするんです。)
ここ、竹田町から隣の亀谷町に至る道は、急な坂になっています。太鼓台が7台連なって威勢良く坂を登っていく姿が見られるとあって、宵祭りの4日夜などは見物客が大勢押し寄せます。
今年は暖かかったせいか、いつもにも増してにぎやかでしたよ。 

このお祭りのよさは、少しの哀愁を帯びた奥ゆかしい情緒だと思います。
「ワッショイ、ワッショイ」の掛け声とともに重い山車を操る若連の姿は、躍動感に溢れていますが、秋の夜空に浮かぶ無数の紅い提灯の光や、美しい伝統的な装飾を凝らした太鼓台の姿は幻想的で、どこか現実離れした別世界の出来事のようにさえ感じられます。

町内の小学校は休校となり、そろいの袴にたすきがけの凛々しい姿の子ども達が、あちこちで見られるのも、何かほほえましい光景です。この町に住む男の子は幼少の頃から、お囃子を習い、お祭りを愛する大人の背中を見て育ちます。

二本松の人たちは本当にお祭りが好きです。
単なる「好き」ではなく、もはや身体の一部に組み込まれた組織のようなもの、なのかも知れません。
提灯祭りを通して人生というものを学び、考え、悩み、成長し、そして次の世代へ継承していくという作業を淡々と行っているように見えます。
提灯祭りは二本松の人の背骨なのかな、なんて思ったりします。
人としての頑丈な背骨を自然にもつことの素晴らしさ。
はたから見ていて羨ましいほどです。

私の生まれた町にも大きな山車の出る伝統的なお祭りがありました。今は亡き、祖父が袴姿で手に提灯を提げて山車の前を歩いている、30年も前の記憶を呼び覚まされるような、そんなノスタルジックな雰囲気が、今でも二本松の提灯祭りにはあります。

まだ、提灯祭りを見たことのない方、来年は是非二本松に来てみてくださいね。

提灯祭りにちなんだ郷土料理をご紹介しましょう。
二本松の家庭で、冠婚葬祭の時につくられる『ざくざく』というお料理。
提灯祭りの時には欠かせない、伝統の味です。
具はすべて、ざくざくと小さな賽の目に切って煮込み、酒と醤油で味を付けます。
汁物と煮物の中間くらいの感じの汁の量です。
里芋、大根、人参、牛蒡、蒟蒻、椎茸、焼豆腐、鶏肉。
たくさんの具からしみ出た旨味がぎゅっと詰まって、しみじみと美味。
身体が元気になりそうな滋味です。

2007_100820070043

お酒は定番の純米生もとの熱燗でも、当然いいのですが、年に一度のお祭りですから、生もと純米大吟醸「箕輪門」をおすすめしましょう。
二本松城(霞ヶ城)の楼門、箕輪門を背景に行われる6日後祭りの出発式も、提灯祭りの見せ場のひとつ。ライトアップされて闇に白く浮かび上がる箕輪門に、紅い提灯の灯りが映えて、祭りの最終日にふさわしい美しさです。

さて、そのお祭りも終わり、いよいよこれから約半年にわたる酒造りの始まり。
忙しくなります。

リンクを貼りますので、二本松提灯祭りについての詳細を知りたい方は、こちらもご覧下さいね。↓
二本松神社例大祭・二本松提灯祭りHP http://www.h3.dion.ne.jp/~paint/
二本松市観光協会HP http://p133.pcsn.co.jp/~nihonmatsu/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2007年9月 | トップページ | 2007年11月 »