福島のひな祭りには春の香りのあさつき!
あさつきといえばどんなお料理を思い浮かべますか?
「・・・最後にあさつきの小口切りを彩りよく散らしてできあがり。」って、よくお料理のレシピの締めくくりにありますよね。
あさつきとはきれいな緑色をした細いネギで、薬味や料理の彩りに使うもの。でも万能ネギとはどう違うの???私は福島に移り住むまでそう思ってました。
福島のあさつきに出会ったのは確か、大七酒造の蔵の食事でだったと記憶しています。
酒造期間中けっこう頻繁に出てくるのは、「あさつきのおひたし」。
私の知ってるあさつきは緑色なのに、このネギと言うには細く、あさつきと言うには白かったり黄緑色だったりするものは何だろう?・・・・というのが第一印象でした。
しかも、食べてみると柔らかな香りと甘さがとっても私好み!
早速、スーパーの野菜売場をよーく見てみたら、ありましたありました。
けっこう目立つ場所に堂々と並んでいらっしゃる。
聞けば、福島の冬から早春にかけての味なんだそうで、「小さい頃からやたらと食わせられっから、もう飽きっちまったー」というほど、この二本松近辺はあさつきの産地なんだとか。
へぇ、そうだったんだ。それも初耳。
というわけで、早速あさつきの畑を見せてもらいに行って来ました。
今回取材にご協力いただいたのは二本松市米沢(旧安達郡安達町)の服部さんです。
あさつきの出荷は11月末から始まり4月まで続くそうです。服部さんのところでは露地ものとハウスものの両方を作っています。
両者の違いは写真を見てください。
私が昔から知ってるあさつきはハウスもの。緑のところが長くてすらりと真っ直ぐな姿。
出荷先は主に東京近郊だそうです。
いっぽう「福島の」あさつきと私が勝手に呼んでいるほうは露地ものです。
緑色の部分は少しで、弓なりに長く伸びた白いところがぷっくり膨れてたくさん分けつして、モジャモジャの根っこがついてます。
どちらも白い部分は土の中。緑の部分は地上に出ているんだそうです。
福島県内への出荷はもっぱらこっち。北海道にも多く出荷されるんですって。
畑の様子もこんなに違います。
ハウスの中は、ぽかぽか春の陽気。緑の部分が長くしなやかに伸びていました。
それにひきかえ 外の畑は素人が見ただけでは何が植わっているのかよくわかりません。
なんだか枯れ草のようなものが地表を覆っていて、その間からちらちらとのぞく黄緑色の芽。でもふかふかの土にクワを入れると、出てくる出てくる!
あさつきの種まきは8月頃。すくすくと生長したあさつきは秋には青々と茂るのですが、11月になって霜が降りるとみんな凍てついて枯れるのだそうです。
ところが、枯れるのは地表に出ている部分だけで、地下では「たいへん緑のところが枯れちゃった!子孫繁栄せねば!!」とばかりに分けつが進むのです。そうやってどんどん株が大きくなっていきます。
わざと霜に当てて、白くて甘くて美味しい部分を育てるというわけですね。
冷たい霜に当てられても、何とかして生き延びようとするあさつきの生命力の強さ。それを巧みに利用する人間の美味いものへの飽くなき探求心。どちらもすごいなぁと妙に感動してしまいました。
この生命力の強さにあやかろうと、昔から福島ではひな祭りに子孫繁栄を願って、おひなさまにあさつきをお供えする習慣があるそうです。また、船乗りは海に出るとき食糧として持っていったとか。長い航海の間にも枯れてしまわないほど丈夫な野菜で、とても育てやすいんですって。だからもちろん農薬も必要ありません。
でも、そんな育てやすい野菜でもひとつ手間のかかることがあるのです。
見ての通りの泥だらけですから、きれいに洗ってやらないと出荷できません。
近くの川へ持って行き、浅瀬を石でせき止めて、ていねいに手作業で洗います。
長靴をはいた足首まで水に入って長時間洗い続ける、過酷な作業です。服部さん宅はいろいろな野菜を作られているので、あさつきの占める割合はそれほど多くなく、1時間も洗えば終わるそうですが、それでも本当に大変でしょうね。あさつき専門の農家では半日洗い続けるのだそうです。今年は暖冬ですが、寒い真冬は川の中にビニールハウスのような風よけを建てるそうです。
これから、あさつきを食べるときは農家の方に感謝して、残さず美味しくいただかなくては。
食べ方ですが、緑色のは主に薬味として。東北・北海道地方以外の方にはなじみの薄い「福島の」白いあさつきは、まず熱湯で3分間茹でます。(ここで茹ですぎは禁物です!)
茹でたあさつきは酢みそ和えにするのが最高です。あさりや桜エビを一緒に和えると春らしくて素敵。他には、かつお節とお醤油でおひたしでも良いし、マヨネーズ和えもいけます。
卵とじも優しい味と香りでおすすめ。それから、桜エビや人参とかき揚げにしても美味しいです。
もうすぐ3月3日。今年のひな祭りは、シュワッと微発泡性のにごり酒、大七「雪しぼり・本醸造にごり酒」とあさつきで、春の息吹を感じてみませんか。
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