祝・収穫祭!大内信一さんと有機農業(第1章)
大内信一さんをリーダーとする地元の農家グループで、本物の酒造りにこだわる大七酒造のために有機栽培で酒造好適米を作ろうという取り組みが始まったのは15年前のことです。そうしてできたお酒は 大七 自然酒生もと として地元で愛されるだけでなく、欧米に輸出され高い評価を受けています。今回は、JAみちのく安達・二本松有機農業研究会の会長で大七酒造の酒米作りの指導もしてくださっている大内信一さんをご紹介します。
11月18日(土)二本松有機農業研究会の収穫祭が催されました。私も自宅に毎週野菜ボックスを届けてもらっていますが、泥だらけですこし愛嬌のある姿形をした旬の野菜たちは力強い甘みや香りがしてとびっきりです。その野菜を育ててくださっている生産者の皆さんとお話しできる貴重な場ですし、なにより理屈抜きで美味しいものがたくさん食べられるとあって毎年楽しみにしているのです。
朝からお天気に恵まれて、会場の住民センターには50人以上の老若男女が集まりました!大内さんの野菜でお子さんをもう立派に育て上げた大先輩主婦の方から、ただいま子育て真っ最中、赤ちゃん連れの夫婦、環境や農業に興味
のある若者たち、そりゃもういろんな人々が”食”というキーワードでつながっているのだなと実感。 屋外では炭火で焼かれる地鶏の香ばしい
匂いが、辺り一面に広がっています。育てた方の顔を見ながら焼き鳥を食べるのですが、そうすると命を「いただく」ことで私たちの命は生かされているんだ、なんてことをふと思ったりするわけです。その向こうではもちつきが始まりました。玄米もちや古代米入りのおもちを臼と杵でぺったんぺったん!子ども達はできあがる前 のご飯とおもちの中間をつまみ食いさせてもらってご機嫌です。つきあがった玄米もちは黄金色ですごい弾力と粘り!きな粉やあんこ、それから納豆をからめていただきましたが、お米の甘みと旨味がたっぷりで体の隅々まで力がみなぎってきそうな美味しさでした。ちょっ
と話はそれますが、実は私、福島のうまいもの情報を執筆していながら福島県出身者ではないのです。だからこそ福島県人が当
たり前にしている食習慣に「これって福島だけじゃぁないの???」ってことがよくあって、そんな発見が記事になればいいなぁと思っていてなどと言い訳したりもするのですが、納豆をもちにからめるのは、皆さんのお住まいの地域ではどうですか?私は福島で初めて知りました。岩手県から来る蔵人も「納豆もぢ、食いてじゃ~」 (酒造期間中は納豆菌は御法度なのです)とよく言ってましたから、岩手にはあるんでしょうね。私の周りではこの食べ方、結構人気のようです。
他にも根菜がどっさり入ったけんちんうどんや野沢菜漬、サラダ、ほうれん草のおひたし、いか人参(これも福島の郷土料理です。後日レポートしますので乞うご期待)などなど、どれもこれも大内さんはじめ二本松有機農業研究会の皆さんの畑で採れたものばかりがずらりと並びました。うどんの小麦や納豆の大豆、味噌や菜種油まですべてが皆さんの畑で採れたものなのです。すごいと思いません?
私が米作りを教わるようになって、大内さんとはかれこれもう6年のおつきあいなのですが、その間、農業に対する信念や情熱を直接詳しくお聞きしたことってなかったんです。それはその背中と手のひらを見れば言葉は必要ないくらいの説得力があったからなのだと思います。でも今回この記事を書くために、後日あらためてじっくりとお話をうかがってきました。
大内信一さんが有機農業に関心を持ち始めたのは30数年前のことです。環境問題や食の安全性についての消費者運動が各地で盛んになり始めた時代でした。農業の現場では収量収益が重視され、選択的な作物を少品種、拡大的に作付けするというのが主流でした。巷で話題になってきていた有機農業というものについて勉強はしてみたものの、それで農家として生活が成り立っていくのか、当初は半信半疑だったそうです。
そんなある日、例年通り、いもち病予防の農薬を田圃に散布していて、突然、あることに思い当たったというのです。「きれいな青空の下、大量の農薬を浴びているのは稲と散布器を背負った自分だ。農薬を使わない安全な農業は消費者のためだけのものではない。なにより百姓である自分自身、そして家族の幸せためなんだ。」
それはまるで天の声が降ってきたようだったと大内さんはおっしゃいます。そのことに気づくと、まるでパズルのピースが次々にはまっていくように、いろいろな問題がするすると明らかになっていったそうです。「今、自分が作物に振りかけた農薬は土にもしみ込み、やがて川や海を汚すだろう。そして汚れた海は・・・」 --「大内信一さんと有機農業(第2章)」につづく-->>
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