キーワードは「自給」!大内信一さんと有機農業(第2章)
有機農業の重要性について気づき始めたちょうどその頃、これも何かの縁だったのでしょうか、食や環境に対する意識の高い消費者グループとの出会いがあったそうです。「子どもたちの未来に美しい地球環境を残してやりたい」、「家族に安全な食べ物を食べさせたい」と願う若いお母さん達と農業への希望に燃える若き日の大内さんを後押しする理解者が地元の農協にも現れ、昭和53年、二本松有機農業研究会は発足しました。
二本松有機農業研究会の取り組みの根底には「自給」というキーワードがあります。自給自足・・・昔の農家ではごく当たり前に行われていたことですが、その土地でできるものをすべてバランスよく、つまりいろんなものを少しずつ育てて、私たちの体内に取り込むということ。
現在、大内さんのところでは野菜を40~50種類、米、麦、大豆、各種の雑穀等を輪作しているそうです。1種類の作物だけを選択的に長年作り続けることは農地に負担がかかります。その作物が成長するのに必要な特定の栄養分だけが、土から抜けていってしまうのです。それに対して、何年かごとに作付けする作物を変える輪作は、土壌成分のバランスを崩さないばかりでなく、周辺の生態系も変化させないため、害虫の発生も抑えられるとか。
農薬を使わないためには害虫や病気が発生しないような工夫が必要です。いちばんの基本はよい苗を作ることなのだそうです。元気な苗に適度の肥料を与えて育てることで病気に強い健康な作物ができるのだとか。さらに大切なのは「適地適作」、「適期適作」。つまりその土地の気候風土にあった作物を「旬」の時期に太陽の光や風にしっかりさらして育てること。そうすれば農薬を使わなくても虫に食い荒らされたり、病気になったりしないのです。
「子育てと同じですよ」と大内さんはおっしゃっていました。確かに肥満児は病気になりやすいけれど、幼少期に十分な愛情をうけ、時に厳しく育てられた子どもは心身共に強い人間になっていきますよね。
「自給」をキーワードにした農業は、作物を自然の流れに逆らわずに育てる結果、私たちの暮らす環境にも負担を強いたりしません。その成り立ちに無理がなくて、すべてが調和しているという印象を受けました。
農業に情熱を注いでいる人のお話を聞いていると、酒造りと同じだと共感させられることがよくあります。特に大七の生もと造りの基本的な醸造法は江戸時代から続くもので、もちろん科学的な説明は後の時代に付け加えられたのですが、実に巧妙に様々な微生物の力、つまり自然の力を借ります。私たち人間に出来ることは、それをじっくり見守って適切な手当をしてやること。過保護も放任もよい結果を生みません。
人も野菜も微生物もみんな同じ生き物なのだと実感します。
次回は二本松有機農業研究会の最近の取り組みについて、さらに詳しくお伝えしますので、お楽しみに。
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